メッセージ
世界のエキスパートが様々な分野の新しい理論や知見を披露する場に
米国Science誌が、日本で初めてScience Robotics Meeting 2018を開催することを嬉しく思います。このイベントの目的は世界のエキスパートが日本に参集し、相互の意見や協業の可能性、新しい知見に関する議論、ひいてはロボティクスの未来を形成することにあり、ロボティクスのコミュニティにとってまたとない機会であります。
このイベントは2016年12月に創刊されたジャーナルScience Roboticsと軌を一にして開催されるものであります。ロボットは完全自律のものであれ、人間との深い協業を行うものであれ、いまやユビキタスになりつつあります。宇宙空間や深海における探査、オペレーティングルームでの操作、あるいは自動運転であれ、ロボティクスの影響は日々進化を遂げております。
Science Robotics MeetingはジャーナルのScience Roboticsを補完するものであり、ロボティクスを取り巻く最新の技術的進化や社会的、倫理的、政治的課題に対し様々なニーズに答えを見出すフォーラムとなることは間違いありません。ロボティクスは真に学際的な性格をもったものですが、このイベントは高度な新素材やバイオを駆使した設計だけでなく、ロボティクスの伝統的な学問もカバーしております。
日本で開催されるこのイベントに関しては、現在小菅一弘東北大学教授を委員長とする9名の産・学・官からなる組織委員会によってこのミーティングの目的、性格、テーマ、講師の選定にあたります。このイベントは、ロボティクスをとりまく様々な観点、可能性、課題等について将来にわたる展望を与えるものと予測します。日本の競争力のある研究開発や応用技術はこの分野で世界をリードするに十分な成果を備えており、このイベントはロボティクスの分野で主導的な役割を果たしてきた学界、行政、産業界のエキスパートによって企画されるまさに時宜を得た企画かと思われます。私どもとしましては、皆様がこのイベントに参加し、ロボティクスのコミュニティについて議論し、すべての人の便益のためにロボティクスの未来を形成するコミュニティの一員となられることを切望しております。
ロボティクスがもたらすチャレンジとチャンス
Science Robotics Meeting in Japan 2018 が2018年3月12日から14日までの3日間、東京・台場のプラザ平成で開催されます。これはScience誌を発行するAAAS (The American Association for the Advancement of Science)が主催するイベントで、昨年12月には、Science誌の姉妹紙としてScience Roboticsが世界に向けて創刊されました。
ご存知のように、日本はロボティクスのリーディングカントリーの1つとして、研究者と産業界が相互に作用し合い、新しいロボティクス分野を創出するのに貢献して参りました。このイベントでは、世界をリードする研究機関・大学・産業界からのロボティクスのエキスパートが一堂に会し、ロボティクスにおける新しいチャレンジやチャンスについて議論することになっております。
ロボティクスは、AI、ディープラーニング、HRI(Human-Robot Interaction)やCPS(Cyber-Physical Systems)などに代表されるような新しい技術の急速な発達とともに、予想をはるかに超えたかつてないスピードで進化を遂げつつあります。たとえば、ディープラーニングに関する最近の進歩は音声認識、画像認識の世界を根底から変え、ロボティクスの新しい分野を切り拓いております。HRIに関する研究は人とロボットの関係を深化させ、製造、医療やリハビリ、そのほか多くの分野での新しいロボットの誕生を促しています。さらにCPSのコンセプトは産業分野のみならず、社会システムにおいてもパラダイムシフトをもたらしております。ロボティクスは、パラダイムシフトを引き起こすようなトランスフォーマティブな研究・開発において重要な役割を演じております。
このミーティングでは、製造、流通、農業、建設などにおける従来のロボティクス分野から、医学、医療、創薬、自動車などにおける新しいロボティクス分野まで、新しく生まれつつある技術が、私たちの社会にどのように変化をもたらす可能性があるのかを展望します。最後に、このイベントが、ロボティクスのさらなる発展を促し、すべての人々に恩恵をもたらせるような機会を提供することを願っております。